認知症が原因で離婚!?認知症前期に要注意!対策は早めに
記事作成日 2024.07.17 / 最終更新日 2024.11.13
歳をとったせいか、パートナーの配偶者の行動や性格が以前と変わって違和感や不満を感じる・・・そんなことはないでしょうか。
アメリカのミズーリ大学の研究グループによると、認知症前期の配偶者の症状で攻撃的になったり抑うつ状態になったりすると、離婚の可能性が高まる可能性があると言われています。
認知症前期の症状とはいったいどういうものでしょうか。この記事では対策も併せてご紹介します。
離婚の危機を招くかもしれない認知症
ミズーリ大学がおこなった今回の研究では「認知症の症状が高度に進行した状態であれば、ささいなすれ違いも認知症の症状によるものだと認めやすくなる。しかし、症状がそこまで進行していない状態だと、配偶者の攻撃的な言動が意図したものだと捉えられ、離婚につながりやすくなる」と分析しています。
配偶者の性格や行動が変わったのが「病気によるものである」と原因がわかることで、変化を受け入れやすくなるのかもしれません。
認知症前期の症状
ここからは、認知症前期で見られる症状を説明します。
軽度認知障害
認知症の前段階で、認知症とされるほどではなく、日常生活に困難をきたす程度でもないグレーゾーンの段階を軽度認知障害といいます。
初期症状なので、それほど目立ったものではありませんが、下記のようなことに思い当たる場合は注意が必要です。
- 財布や鍵など、物をどこに置いたのかわからなくなることがある
- 置き忘れやしまい忘れをすることが多くなった
- 蛇口やガス栓の閉め忘れなどが増えた
- 数分前に聞いた話を思い出せないことがある
- 同じことを言ったり聞いたりする
- 今日が何月何日か、何曜日かわからないことがある
- 言いたい言葉がすぐに出てこないことがある
- 物の名前が出てこないことがある
- いつもの場所のはずなのに道に迷ったことがある
- 以前は好きだったことや趣味に対する興味がなくなってきた
- 日課をしなくなった
- テレビドラマなどの複雑な話が理解できなくなってきた
- ささいなことで怒るようになった
- 夜中に急に起きて騒ぐことがある
このような初期症状に対して、配偶者の「性格が悪くなった」「怠けている」「こちらの話をちゃんと聞いていない」と誤解してしまい、信頼関係が崩れ、離婚に至るのはなんとも悲しいものです。
認知症になるとお金に対して執着するような行動が現れることがあります。この点は「認知症の親がなぜ急にお金に執着?財産管理はどうしたらいい?」で解説しています。
軽度認知障害は診断できるか?
軽度認知障害の診断方法は今のところ確立されていません。あくまで面談や認知機能検査、脳画像検査などの結果から、医師が総合的に判断します。
軽度認知障害の場合、何も対策をしないと、そのまま認知機能が低下して、半数以上が5年以内にアルツハイマー型認知症に進行すると言われています。
「軽度認知障害、MCIとは?症状や認知症との違いや対策」で詳しく解説しています。
認知症と財産管理の問題
認知症による性格や態度の変化だけでなく財産管理にも支障がある恐れがあります。
認知症でお金を使いすぎる
認知症の症状の一つにお金を使いすぎるというケースがあります。
記憶障害や判断力が低下することで、自分の欲しいという欲望が抑えられなくなり高額であっても買ってしまったり、日常の買い物でも生活用品等を買ったことを忘れてしまうので同じものを買ってしまうために家に在庫がたくさんある、などといった行動です。配偶者が浪費家になったと誤解をしてしまうかもしれません。
特殊詐欺に騙されてしまう
また、認知症でなくても、加齢により脳内での処理速度が加齢に伴って遅くなっていくため、瞬時の反応や判断というものが苦手になっていきます。近年の特殊詐欺の功名な手段は高齢者は被害に遭っていると気づきにくいという特徴もあり誰でも用心する必要があります。詳細は「高齢の親が詐欺で困らないために、財産を管理して対策する方法」で解説しています。
しかし、たくさんのお金を失ってしまうと、お互いの生活に深刻な影響を及ぼしますから早めの財産管理の対策が必要です。
家族信託で子どもに財産管理をお願いする
家族信託は、家族による財産管理の手法の一つです。
財産の所有者のかわりに家族が目的に従い財産の管理や運用、処分を行います。
親の財産を子が管理・運用できるよう契約を結んでおくことで、もし親が認知症になったときにも資産凍結について慌てなくて済みます。
また、子どもがいなければ、甥や姪、兄弟、夫婦のどちらか、または、友人が受託者になることもできます。しかし、大事な財産を管理してもらう相手なので、慎重に判断しましょう。
ただし、認知症が深刻化してしまうと家族信託の契約自体を結ぶことができませんので、元気なうちに対策にとりかかりましょう。
家族信託については「家族信託とは?仕組みやできること・デメリットもわかりやすく解説!」で詳しく解説しています。
いざというときは成年後見制度を使おうと思っていらっしゃる方は「成年後見人とは?選び方や費用、法定・任意後見人と家族信託の違い」で家族信託と比較検討してみてください。
まとめ
配偶者に対して抱いている不満に軽度認知障害の症状に当てはまるものがあれば、一度医療機関を受診してみましょう。
配偶者の行動の変化が認知症の初期症状だと理解できず、すべて相手の意思言動だと勘違いしてしまって離婚に発展するのは避けたいものです。認知症かもしれないとの不安があれば、まずはかかりつけ医に相談してみましょう。
認知症のみならず、相続対策は早めに準備して、少しでも気楽に人生を楽しみたいものです。
特に財産については取返しのつかないことにならないように、早めに対策を始めましょう。
認知症家族信託ガイドでは家族信託に精通した専門家をご紹介していますので、気軽にご相談ください。