高齢の親が瘦せてきた、フレイルかも!?認知症の関係も解説
記事作成日 2024.07.19 / 最終更新日 2024.11.13
盆暮れ正月にしか実家に帰れないという方も多いでしょう。
久しぶりに会うからこそ、親の変化に気づきやすいということもあります。
この記事では親の身体の衰えから、認知症の兆候を察知するフレイルについて説明します。
フレイルとは
認知機能や運動機能の働きが弱くなってきた状態をフレイル(虚弱)といいます。
虚弱体質という言葉なら聞いたことがある人も多いでしょう。
虚弱とは、病気ではないが身体が不調な状態が続く,病気にかかりやすいといった状態をいいます。
- 最近痩せてきた
- 前よりも疲れやすくなった
- 走るとすぐに息切れをする
- 外出するのが億劫になってきた
上記は、フレイルの入り口となっている症状です。
高齢者におけるフレイルは、元気な状態と介護が必要な状態の中間の状態ともいえます。
【フレイルは造語】
フレイルという言葉は英語ではありません。
「虚弱」を意味する英語の「frailty」を語源に「日本老年医学会」が提唱した言葉です。
虚弱という言葉がネガティブなイメージがあり、認知度が低いことから考えられたそうです。
ちなみに健常者のことを「ロバスト」と言っています。こちらは英語です。ROBUST(意味:〈人体質などが〉強靭(きようじん)な, 壮健な)という言葉をカタカナで表しています。
フレイルと認知症の関係
大阪大学や慶応義塾大学の共同研究で、高齢者におこなわれるフレイルの質問票を分析したところ、フレイルである人は健康リスクが高いと思われる回答を選択する傾向にあることがわかっています。
特に認知機能の低下は要注意です。
高齢者の病気の中でも認知症は症状や種類も多く、家族や周囲の対応が難しい病気です。認知症になると、生活する上でさまざまな面で支障が出てしまいます。
フレイル予防
フレイル予防には東京都医師会が以下の3つの柱を提唱しています。
- 栄養:バランスの良い食事、口腔機能の維持、など
- 運動:軽い運動、筋トレ、など
- 社会参加:趣味の集まり、ボランティア活動、勤労、など
参考:「フレイル予防」(東京都医師会)
フレイルから認知症に進んだ場合
認知症の進行は人それぞれなので一概には言えませんが、症状が急に進むことはありえます。
また、身体的機能の低下によって入院したことで、認知症を発症してしまうこともあります。
認知症で財産管理ができなくなる?!
認知症になり意思能力がなくなると財産管理ができなくなります。
たとえば、以下のような行為ができなくなります。
- 預金の引き出しなどの取引
- リフォーム工事
- 不動産の売買
- 生命保険の解約や保険金請求
- 相続対策ができなくなる
認知症になるとお金に対して執着するような行動が現れることがあります。この点は「認知症の親がなぜ急にお金に執着?財産管理はどうしたらいい?」で解説しています。
認知症には早期発見、早期治療が重要です。認知症の初期症状である記憶障害は単なるもの忘れとして見逃されることも多いのですが、早く対処すれば進行を遅らせることもできます。
高齢の親が財産管理ができなくなる前に対策を
認知症になってしまい、本人がお金を管理する能力がなくなったことを知った銀行はその人の口座を凍結します。
本人を支えている家族が凍結口座のお金と使いたいと思っても、認知症の本人に代わって使えるようにすることはできません。
お金を立て替えるときのリスク
本人に代わって家族がお金を出すということであれば口座が凍結しても問題はないかもしれません。
しかし、一時的に立て替えたのち、相続が開始したら遺産から精算しようと考えている方は注意が必要です。
遺産分割の際に、本当に立て替えたのか?本当に親のために使ったお金なのか?などと他の相続人から疑われる可能性が考えられるからです。
相続が争族になってしまうのは避けたいものです。
高齢の親の財産管理をする方法
「家族信託」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
家族信託は、家族による財産管理の手法の一つです。
財産の所有者のかわりに家族が目的に従い財産の管理や運用、処分を行います。
親の財産を子が管理・運用できるよう契約を結んでおくことで、もし親が認知症になったときにもあせらずに済みます。
詳細は「家族信託とは?仕組みやできること・デメリットもわかりやすく解説!」を参照してください。
よくある質問
Q:認知症の判断は誰がするの?
認知症は、医師が複数の検査を総合して診断します。
認知症の診断の病院選びと診断の流れ・診察を拒否するときの対処法
Q:認知症が心配なときは相談できる公的機関は?
地域包括支援センターは、高齢者の生活を支えるための介護医療や保険、福祉などの公的な総合相談窓口です。地域包括支援センターでは、保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門家がチームとなって、高齢者やその家族のさまざまな相談を受けています。相談は無料です。
地域包括支援センターは、認知症に詳しい認知症疾患医療センターなどと連携していますので、もしかして認知症?と漠然とした不安がある方や深刻な状態でない場合はまずこちらに相談するとよいでしょう。
なお、地域包括支援センターは、全ての市町村に設置されていますが、地域ごとに名称が異なる場合もあります。
Q:認知症に対する財産管理の対策は家族信託だけ?
認知症に対する財産管理の対策は家族信託以外に、任意後見制度なども挙げられます。
また、両方を併用することも可能です。ご自身にはどの方法が適しているのかについては専門家に相談するとよいでしょう。
成年後見人とは?選び方や費用、法定・任意後見人と家族信託の違い
まとめ
フレイルは、病気ではありませんが、元気な状態と介護が必要な状態の中間地点です。高齢になった親は体調がすぐれなくても、子どもに心配をかけないように、不安に感じていることを言い出せないでいるかもしれません。
帰省したり、電話をしたときに、会話の流れで普段の生活で何か不自由をしていないか聞いてみましょう。もしかしたら、買い物や銀行に行くのも辛い思いをしているかもしれません。
少しずつ会話を積み重ね、健康のこと、病院のこと、介護サービスや老人ホーム、その費用やお金の管理方法など今後のお金の話ができるようにコミュニケーションを増やしていきましょう。
家族信託では、自身の死後に「誰に遺産を渡すか」ということの指定ができます。いわば遺言機能を付けることもできます。近年では終活という言葉も周知されるようになったので、その一環として、話を切り出すのも一つの方法です。
せっかくご本人が築いた財産、ご本人の老後のために、また、子供たちに残す財産をきちんと引き継ぐためにも、専門家のアドバイスを受けながら、家族信託等を上手に利用されることをおすすめします。
認知症家族信託ガイドでは家族信託に精通した専門家をご紹介していますので、気軽にご相談ください。