高齢の親が詐欺で困らないために、財産を管理して対策する方法
記事作成日 2024.07.19 / 最終更新日 2024.09.04
オレオレ詐欺などの特殊詐欺は年々手口が巧妙になっています。相手は組織的に動いて常に変化しており日々新たな手口が生まれています。
大事な老後の資金を詐欺に騙し取られないように、子どもが親の財産を管理するする方法、家族信託や任意後見で対策をしましょう。
この記事では特殊詐欺の種類や親の財産を管理して対策する方法をわかりやすく説明します。
特殊詐欺とは
被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ、指定した預貯金口座への振込みやその他の方法により、不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪を特殊詐欺といいます。
オレオレ詐欺以外にも巧妙な手口が多く存在しますので、手口の特徴をしっかり把握しておきましょう。
オレオレ詐欺
息子や孫になりすました犯人から電話があり、仕事に関するトラブルなどを口実に、お金を要求する詐欺です。
「交通事故に遭ったから50万円を振り込んで欲しい。」
「警察ですが、息子が事故を起こした。示談金が必要なので金を送金してほしい。」
などと電話をかけてきて、お金を振り込ませて盗み取ります。
預貯金詐欺
県や市区町村などの自治体や税務署の職員などと名乗り、医療費などの払い戻しがあるからと、キャッシュカードの確認や取替の必要があるなどの口実で自宅を訪れ、キャッシュカードをだまし取る詐欺です。
「●●市役所です。保険料の還付金を銀行口座に振り込みたいのですが、キャッシュカードが古いため、新しいキャッシュカードに交換する必要があります。」
「●●百貨店です。あなたのカードで買い物に来ている人がいます。心当たりはありますか?」
と電話をかけてきて、キャッシュカードや通帳を騙し(盗み)取ります。
キャッシュカード詐欺盗
警察官などと偽って電話をかけ「口座が悪用されている、キャッシュカードを確認しに行く」と電話があり、嘘の手続きを説明した上で、キャッシュカードをすり替えるなどして盗み取る手口です。
架空料金請求詐欺
未払いの料金があるなど架空の事実を口実とし金銭等をだまし取る(脅し取る)手口です。携帯電話のメールに「有料サイトの料金が延滞しているので延滞金を振り込んでください。」などと要求し、現金を騙し取ります。
還付金詐欺
税金還付等に必要な手続きを装って被害者にATMを操作させ、口座間送金により財産上の不法の利益を得る手口です。
「年金事務所と金融機関を名乗った電話があり、指示通りにATMを操作したら振り込みをしていた。」
上記以外にも、融資保証金詐欺、金融商品詐欺、ギャンブル詐欺、交際あっせん詐欺などの手口もあります。
また、知らない業者が訪問してきて家の工事を進める点検商法や、押し買いといって、不意に訪問して貴金属などの買取をおこなう営業もあります。
高齢者が詐欺に合ったら
詐欺被害にあったと思ったら、真っ先に警察に届け出ましょう。銀行で振り込みをおこなったのであればその銀行にも連絡しましょう。
詐欺かどうか判断がつかない場合でも、あきらかに不要なものを買ったりしたときは契約の取り消しやクーリングオフをしましょう。
クーリングオフとは
クーリングオフは、訪問販売や電話勧誘などでいったん契約の申込や契約の締結をしてしまった後に、一定期間であれば、無条件で契約の申込を撤回したり契約を解除できる制度です。
特定商取引法
特定商取引法では、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とされています。
消費者はこれら法律で守られてはいますが、契約時に判断能力が不十分だったことを証明しずらいため、解決が困難なケースもあります。
また、本人が詐欺にあったと気づいたとしても、家族に怒られるかもしれない、迷惑をかけるかもしれないと思い込み、隠してしまう場合もあります。
親の財産を管理して詐欺への対策をする方法
詐欺にあってから契約解除ができたとしても、家族の関係性も悪くなり、本人も嫌な思いをしてしまいます。そのようなことのないように、事前に対策をすることが肝要です。
成年後見制度
もし、親が認知症で成年後見人等を選任されていれば、契約などの法律行為を無条件に取り消すことができます。
成年後見制度とは
成年後見制度とは、認知症や知的障害等の精神上の疾患により判断能力が著しく低下した方の財産を保護するため、支援するための制度で、成年後見人等とは、家庭裁判所から選任されて、ご本人の財産保護や身上監護等を行う者のことです。
成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」があり、認知症のために判断ができず詐欺にあってしまった場合、その契約の取り消しができるのは「法定後見制度」です。
「成年後見人とは?選び方や費用、法定・任意後見人と家族信託の違い」でさらに詳しく解説しています。
家族信託
家族信託は、家族による財産管理の手法の一つです。
財産の所有者のかわりに家族が目的に従い財産の管理や運用、処分を行います。
例えば、親子で家族信託契約を結び、親の金銭は、家族信託用の信託口口座を作って管理します。もし、親元に詐欺の電話が来てお金を用意したくても、まずは、管理している人に相談するしかない状態をつくっておけば、未然に防げる可能性はかなり高くなるでしょう。
不動産については、家族信託で、名義を子どもに変更登記をします。そうすれば、親が不動産を担保にしてお金を借りたりすることも防げます。
ただし、家族信託については本人の意思能力があるうちに契約する必要があること、本人が高額な商品を買ってしまったときなどの契約の取消権などはありません。
「家族信託とは?仕組みやできること・デメリットもわかりやすく解説!」でさらに詳しく説明しています。
まとめ
高齢者は、被害に遭っていると気づきにくいという特徴もあります。近年の詐欺は巧妙なので認識できないのです。
認知症でなくても、加齢により脳内での処理速度が加齢に伴って遅くなっていくため、瞬時の反応や判断というものが苦手になっていきます。
高齢の親がいる人は、実家にいったときには何か様子が変わっていないか確認をしてみましょう。
オレオレ詐欺などへの対策には、ナンバーディスプレイ機能や録音機能のついた電話機に変更したり、インターホンをモニター機能のあるものに変えたりするのもよいでしょう。
家族信託を検討してみたい方は専門家からまず話をきいてみましょう。