介護保険とは?保険料の支払い方法と減免制度を徹底解説
記事作成日 2024.07.17 / 最終更新日 2024.09.04
介護保険は、高齢者や介護が必要な方々を支えるための重要な制度です。認知症になったときなどに公的な介護サービスを使うためには介護認定を申請する必要があります。
本記事では、介護保険料の支払い開始時期や金額、納付方法、さらに減免制度についてわかりやすく解説します。介護保険料の基本知識を押さえることで、将来の自分や親の介護に備えることができます。ぜひ参考にしてください。
目次
介護保険制度とは
介護保険制度は、家族の負担を軽減し、介護を社会全体で支えることを目的に、2000年に創設されました。
老化に起因する疾病や、親が高齢となり介護が必要となる状態になる可能性が高まる時期である40 歳以上の人が介護保険料を支払います。
40歳以上の人(以下参照)が介護保険を利用できます。
介護保険で何ができる?
介護保険は65歳以上(第1号被保険者)の人は、原因を問わずに要介護(要支援)認定を受けたときに介護サービスを受けることができます。
40歳から64歳(第2号被保険者)の人は、加齢に伴う疾病(特定疾病)が原因で要介護(要支援)認定を受けたときに介護サービスを受けることができます。
サービスの利用料は要介護度ごとに自己負担も発生します。サービス利用者の自己負担は、費用の1~3割です。
要介護(要支援)認定を受けたら、介護保険で金銭が支給されるということではないので注意してください。また、介護サービスを受けるのも、要介護(要支援)認定によって受けられるサービスやその頻度など、さまざまな違いがあります。
介護保険のサービスを受ける方法
介護保険適用の介護サービスを受けるためには、要介護認定を申請し、要支援1~2、要介護1~5のいずれかの認定を受ける必要があります。
介護認定を申請できるのは、介護を必要としている本人またはその家族です。
介護認定を申請する
介護認定の申請は、介護を必要としている本人が住んでいる市区町村の窓口に届け出ます。
申請後は市区町村の職員などから訪問を受け、聞き取り調査(認定調査・訪問調査)が行われます。
その後、一次判定、二次判定を経て市区町村が要介護度を決定します。
聞き取り調査(認定調査・訪問調査)とは
市区町村の職員が介護認定調査員として、自宅や施設、病院を訪れて直接訪問調査を行います。介護を受けたい本人が介護が必要な状態か、介護が必要な場合はどの程度の介護や支援が必要なのかなどを確認します。
家族構成・生活状態、心身の状態をはじめ、身体機能、生活機能、認知機能、特別な医療が必要なのかなど。決められた質問形式で調査が行われます。
一次判定とは
訪問調査の結果と主治医意見書の一部の項目をコンピュータ入力して一次判定を行います。厚生労働省が作成した全国共通の要介護認定ソフトが使われ、客観的に分析し申請者を振り分けます。
二次判定とは
コンピュータによる一次判定結果に、主治医意見書と認定調査における特記事項を踏まえて二次判定が行われます。
各市区町村が設置している「介護認定審査会」は保健・医療・福祉の学識経験者5名ほどで構成され、ここで申請者の介護度や支援度を検討します。
介護認定の通知
認定の結果が決まると、認定結果通知書と認定結果が記載された被保険者証が送付されます。
原則的には介護認定申請から約30日で結果が通知されますが、地域によっては申請から判定まで1ヵ月以上かかる場合もあります。
認定結果は「要介護1~5」「要支援1・2」「非該当(自立)」のいずれかに分類され、「要介護認定1~5」に認定されると「介護保険サービス」が利用できるようになります。
要支援1,2については「要支援になったらすぐに対策すること、認知症に備えて家族信託を検討」、要介護1~5については「認知症は要介護いくつになるの?介護認定されたら家族信託はできる?」を参照してください。
介護保険料の支払いと金額
介護保険料は40歳から支払い始め、生涯にわたり納付する義務があります。40~64歳の「第2号被保険者」と65歳以上の「第1号被保険者」と保険料は年齢によって支払い方法が異なります。
第2号被保険者(40~64歳)
第2号被保険者の介護保険料は健康保険料・厚生年金保険料と同じように、標準報酬月額を使って計算し、被保険者と事業主で1/2ずつ負担します。加入している公的医療保険料(健康保険料)によって計算方法が異なりますので納付金額もそれぞれです。
加入する公的医療保険の保険料に介護保険料が含まれています。会社員は給料から天引き、自営業者は口座振替や納付書で支払います。
第1号被保険者(65歳以上)
自治体ごとに異なる基準で設定され、本人や世帯の所得状況によって変動します。なお、全国平均は約6,000円以上です。
年金が年額18万円以上の場合、特別徴収として年金から自動的に差し引かれます。年金が18万円未満の場合は、市区町村から送られる納付書で納付します。
介護保険料の支払いを滞納した場合
介護保険料を滞納すると、督促手数料や延滞料が発生し、サービスの利用が制限されることがあります。支払いが困難な場合は、自治体に相談しましょう。
介護保険料を安くする方法
災害により著しい損害を受けたり、生計を支えている方が入院した時などは、介護保険料の減免・減額制度を利用することで、負担を軽減することが可能です。申請が必要なので、詳細は自治体の担当窓口で確認してください。
よくある質問
認定結果に納得いかない場合はどうすれば良いですか?
市区町村の担当課へ問い合わせてみましょう。問い合わせた上で納得できる回答が得られない場合は、不服申し立てをおこなうことができます。「不服申し立て」は、都道府県設置の「介護保険審査会」に審査請求し認定結果が妥当であるかどうかの審査を行うものです。認定結果通知を受け取った日の翌日から90日以内に申し立てをする必要があります。
介護認定に有効期限があるって本当?
新規に申請したり、区分変更は原則6カ月、更新は12カ月ごとに認定が見直されます。短期的に状態の変化が見込まれないと介護認定審査会が判断した場合については、12カ月から48カ月の間で延長される場合もあります。
介護保険と健康保険の違いは?
介護保険と健康保険の主な違いは以下の通りです。
介護保険 | 健康保険 | |
使い方 | 介護認定をうけて使うことができる | 健康保険に加入していれば使える |
内容 | 市町村によってサービスが異なる | 全国共通 |
期限 | 6~12カ月ごとに認定の見直しがある | 健康保険に加入している間 |
給付額の制限 | 介護度によって上限がある | 保険診療が認められているものについては上限がない |
まとめ
介護保険料を払う世代になると、親の介護も気になってくるでしょう。
一緒に暮らしていれば細かいサポートや目配りもできますが、離れて暮らしているとそうもいきません。
どんなサポート方法があるのか少しずつ知識を増やしていきましょう。