認知症とは?種類やそれぞれの症状を解説
記事作成日 2024.07.19 / 最終更新日 2024.10.04
65歳以上の約16%が認知症であるといわれ、若年性認知症であれば平均発症年齢は51.3歳。認知症は、誰でもかかる可能性があります。
両親も自分自身も年を重ねるにつれ、認知症が他人事ではないと感じられいる方も少なくないのではないでしょうか。
そこでこの記事では、認知症の種類や症状を中心に大枠を分かりやすく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
認知症とはどんな病気なのか
実は「認知症」は病名ではありません。
脳の神経細胞の働きが低下することで記憶障害などの特有の症状(記憶や判断力低下・失語など)が現れ、社会生活に支障がおきている状態のことを指しています。
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認知症には種類がある
認知症は、その原因となる病気があり、いくつかの種類があります。
その中で、半分以上を占めるのがアルツハイマー型認知症、次いで日本人に多いのが脳血管性認知症、レビー小体型認知症と続きます。この3つが3大認知症といわれています。
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症の原因は所説ありますが、脳にアミロイドβといった特定のたんぱく質がたまり、それに伴い脳細胞が死滅、損傷。脳全体が変形したり、萎縮したりすることで、アルツハイマー型認知症が起きると言われています。
アルツハイマー型認知症の症状
脳が委縮することで、直近で起きたことを思い出せなくなるなどの記憶障害や、適切な言葉が出てこない、判断力が低下するといった症状がみられます。
進行すると、これらの症状が悪化してゆき、自分がしたことをすべて忘れてしまう、目的もなく歩き回る徘徊などがみられ、末期には家族もわからなくなり、失禁や筋肉がこわばり(筋固縮)が起き、ベッド上で過ごすことが増えるので生活のすべてにおいて介助が必要になります。
脳血管性認知症
脳血管性認知症は、くも膜下出血や脳梗塞といった脳の病気の後遺症によって引き起こされる認知症です。
脳血管性認知症の特徴としては女性より男性に多く、男性は女性の2倍の疾病数が報告されています。
脳血管性認知症の症状
脳血管性認知症の場合は、同じことができるときとできないときがあったり、理解力は問題ないのにもの忘れだけがひどいといった、症状の出方に波があるため、「まだら認知症」とも呼ばれています。
感情コントロールが利きにくい、夜間せん妄(夜になると家の中を歩き回ったり独り言を言うなど)という症状が現れることもあります。
末期には、重度の認知障害や失語などにより生活のすべてにおいて常時介護が必要な状態となります。
レビー小体型認知症
レビー小体というたんぱく質が脳神経細胞を破壊することで発症するのがレビー小体型認知症です。女性に比べて男性の発症率が高い傾向にあり進行が比較的早いという特徴があります。
レビー小体型認知症の症状
レビー小体型認知症では、睡眠時の行動異常や、パーキンソン症状、見えないものが見えるという症状の幻視など特有の症状が現れます。認知機能については良いときと悪いときが波があり中期以降に目立つようになります。症状のあらわれ方にも個人差があり、さまざまな症状がみられます。
末期になると、パーキンソン症状や認知機能障害がさらに悪化し、常時介護が必要な状態となります。
その他の認知症
三大認知症の他にも、前頭側頭型認知症や頭部外傷後遺症、アルコール性認知症などがあります。
65歳未満で発症した場合、「若年性認知症」とされます。
認知症の前段階
認知症の前段階で、認知症とされるほどではなく、日常生活に困難をきたす程度でもないグレーゾーンの段階です。
軽度認知障害(MCI)とは
軽度認知障害は、Mild Cognitive Impairmentの頭文字をとり、MCI(エム・シー・アイ)と呼ばれています。
軽度認知障害(MCI)をそのまま見落としたままにしてしまうと、認知症へと進行する可能性があります。
軽度認知障害段階で適切な予防と対策をすれば、発症を遅らせたり、健常な状態へ戻ることもできます。
認知症の診断はどこでする?
認知症は、医師が複数の検査を総合して診断します。
概ね以下のような流れで検査していきます
- 面談(問診)
- 身体検査
- 認知症検査
認知症検査の所要時間は一般的に1~2時間ですが、大学病院などではこれより長くなる可能性があります。
1.面談(問診)
まずは本人と家族に対して医師の面談があり、過去の病歴や現在の状態についてヒアリングがおこなわれます。
2.身体検査
身体検査では、一般的な健康診断や人間ドックのような内容(レントゲン、血液検査、尿検査、血液検査など)をおこないます。
3.認知症検査
認知症検査は「脳画像検査」と「神経心理学検査」の2種類があります。
脳画像検査はCTやMRIで脳を撮影して、脳の状態を検査するものです。神経心理検査は脳の働きをチェックする検査。絵を見て絵の内容を答えるものや、記憶の確認、単純な計算問題などです。
神経心理検査には「長谷川式簡易知能評価スケール」や「ミニメンタルステート検査」、「時計描画テスト」といったものがあります。
認知症の診断については「認知症の診断の病院選びと診断の流れ・診察を拒否するときの対処法」で詳しく解説しています。
まとめ
以上、認知症の種類と症状についてざっくりとした説明をしてきました。
種類によって症状の出方や進行、対応が違います。また、認知症の進行スピードは人それぞれですが、一般的には比較的緩やかに8年~10年程かけて徐々に進行していきます。
繰り返しますが、認知症は、誰でもかかる可能性があります。対策をすることで少しでも心の荷を軽くしましょう。
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