図解でわかりやすい!成年後見を使ってる人はどのくらい?申立て数、親族の割合の現状
記事作成日 2024.07.19 / 最終更新日 2024.09.04
成年後見制度と聞くと、なんだか難しそうだし、利用している人なんて本当にいるの?ともいるでしょう。自分には関係ない・・・と思っている方も多いのでは?
しかし、決して特殊なことではなく、誰にでも関係する可能性のある制度なのです。
この記事では、成年後見制度の利用について、データを使って解説していきます。
是非参考にしてください。
成年後見制度の利用者数は年々増えている!
成年後見制度を利用している人は年々増えています。
出典:最高裁判所「成年後見関係事件の概要 令和4年1月~12月」
上記の表を見ると、総数の内訳として、成年後見、補佐、補助、任意後見と分かれています。これは、成年後見制度には判断能力の程度により種類があるからです。
補佐、補助も増えていますが、成年後見が圧倒的に多数です。このことから本人の判断能力の程度が著しく低い状態にある人が多く利用していることがわかります。
成年後見制度とは
成年後見制度とは、認知症や知的障害等の精神上の疾患により判断能力が低下した方の財産を法的に保護する制度です。
成年後見制度は、法定後見制度と任意後見制度2つに大別できます。
法定後見制度は「(成年)後見」「保佐」「補助」の3つに分かれており、判断能力の程度など本人の事情に応じた制度を利用できるようになっています。程度の重さについてざっくりと表現すると、「後見>保佐>補助」となります。
任意後見制度は、自分の判断能力が十分なうちに判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ本人自らが選んだ人に、代わりにしてもらいたいことを契約で決めておく制度を任意後見制度といいます。
成年後見制度についての詳細は「成年後見人とは?選び方や費用、法定・任意後見人と家族信託の違い」をご覧ください。
申立て理由は認知症が最も多い!
成年後見制度の申立てをしている理由の最多が認知症でした。
出典:最高裁判所「成年後見関係事件の概要 令和4年1月~12月」
高齢女性が圧倒的多数
男女比で見ると、男女別割合は、男性が約43.8%、女性が約56.2%です。
性別ごとの年齢別の割合を見てみると、男女とも過半数を70代以上が占めていますが、80歳以上については、男性は35.5%であるのに対し女性は63.7%と、2倍近い割合を占めています。
出典:最高裁判所「成年後見関係事件の概要 令和4年1月~12月」
以下の令和元年の厚生労働省の資料によると、認知症の有病率の傾向として、年齢が上がると男女とも認知症の出現率が高くなります。女性の方が長寿であることと高齢になるほど認知症の出現率も増加していくことから、結果的に高齢の女性が成年後見を利用することが多くなると考えられます。
出典:厚生労働省老健局「認知症施策の総合的な推進について(参考資料)」
もしかして認知症かな?と思ったら
認知症簡易チェックテスト
成年後見制度を利用する理由
認知症になったから必ず成年後見制度を利用するわけではありません。
認知症になり症状が悪化すると判断能力が低下し契約などの法的なことができなくなります。そのため、本人に意思能力が無くなると銀行では本人の口座を凍結することで財産を守るのですが、一方、本人以外の家族などが預金を引き出すことができなくなり、本人の生活がままならなくなることがあります。そのために成年後見制度を利用する場合があるのです。
出典:最高裁判所「成年後見関係事件の概要 令和4年1月~12月」
上記の表によると、成年後見制度を利用する理由の第一位が預貯金等の管理・解約です。第四位の不動産の処分については、老人ホームの資金として自宅を売却したくても本人が認知症であるために本人の意思確認ができないことから売却ができず、成年後見制度を利用したということも考えられます。
成年後見人等は誰に頼んでるのか
では、実際に、成年後見人等はどんな人が選任されているのでしょうか。
親族以外が約8割!
令和4年に選任された成年後見人等のうち、親族と親族以外のそれぞれの割合は、親族が19.1%、親族以外が80.9%でした。後見人等候補者は親族でも親族以外の人でも構わないのです。
出典:最高裁判所「成年後見関係事件の概要 令和4年1月~12月」
親族の割合が少ない理由として、そもそも家庭裁判所への申し出時点に成年後見人の候補者に親族が記載されている事が2割程度に留まっていることが影響しています。そのため、現状では親族以外が成年後見人等となることが多いのです。
成年後見人の選任方法については「親族が成年後見人になれないケースとは?選ばれるためには?」を参照してください。
親族の誰に頼んでる?
親族の誰が選任されたのかという点については、本人の子どもが53.4%、次いで兄弟姉妹が14.9%、その他親族17.4%、配偶者7.5%、親6.8%でした。
出典:最高裁判所「成年後見関係事件の概要 令和4年1月~12月」
どんな専門家が成年後見人等になってる?
親族以外の成年後見人等に選任された場合の内訳は、いわゆる専門家と呼ばれる弁護士、司法書士が過半数を占めます。次いで社会福祉関係、税理士、行政書士と続きます。
家族信託の依頼先を検討している方は「家族信託は誰に頼む?専門家と銀行の特徴や違いを知って相談を!」を参照してください。
まとめ
以上、成年後見制度を使ってる人の年代や申立て数、親族の割合の現状を解説しました。
高齢化は避けて通れない問題です。両親のことだけではなく、自分自身が将来、判断能力が低下してしまう可能性も十分あります。
家族信託など、事前に対策できることがあります。気になる方は一度専門家に相談してみましょう。