家族信託と成年後見制度は併用できる?
記事作成日 2024.11.07 / 最終更新日 2024.11.07
家族信託をした場合、成年後見制度と併用することはできますか?成年後見制度が使えなくなることはありませんか?
家族信託と成年後見制度を併用することはできます。また、家族信託をするからといって成年後見制度が使えなくなるわけではありません。
本人の判断能力の程度により使う制度が異なる
成年後見制度は「法定後見」と「任意後見」とに大別することができます。「法定後見」は対象者本人の判断能力の程度によってさらに3種類に分かれています。
法定後見の種類 | 後見人 | 保佐人 | 補助人 |
---|---|---|---|
対象者 | 判断能力が欠けていることが通常の状態の人 | 判断能力が著しく不十分な人 | 判断能力が不十分な人 |
代理が可能な行為 | 財産に関するすべての法律行為 | 申立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」 | 申立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」 |
「任意後見」は、対象者本人が判断能力が低下した場合に備えて、自分の判断能力が十分なうちに、あらかじめ本人自らが選んだ人(任意後見人)に、代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておく制度です。
つまり、対象者本人の判断能力の有無や程度が成年後見制度を利用する際の重要なポイントになります。
家族信託についても任意後見と同様に本人の判断能力があるうちに契約する必要があります。
このように認知症に備えてどの制度を選ぶかは、本人や家族の状況によって異なります。
折角本人が元気なうちに認知症等に備えた財産管理の検討をするのであれば、家族信託を中心に検討し、成年後見を使わないでも済むような設計を考えてみてはいかがでしょうか。
家族信託と成年後見制度を併用する場合は経済的な負担も増える可能性があるので、事前にしっかりと検討することが大切です。
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