認知症で大食いに?過食の効果的な対策と解決方法
記事作成日 2024.09.06 / 最終更新日 2024.11.13
最近、高齢の親の食欲が収まることがない・・・。日中、高齢の親が一人でいる時間に、パンやお菓子などの買い置き食品を次々と食べてしまうことに悩んでいる家族の声を聴くことがあります。
この記事では、認知症による過食の原因や対策方法、認知症に備える財産管理について詳しく解説します。
認知症による大食い?
親が痩せてきて心配・・・という声をよくききます。
それとは逆に高齢の親が異常な食欲があって、病気になったらどうしようと悩む方もいます。
認知症を患うと過食するケースもあります。朝・昼・夕ときちんと食事をしているのに、目につくものを手当たり次第に食べてしまうのです。
この異常なまでの食欲は認知症の周辺症状のひとつなのです。
認知症による過食の主な原因
認知症の方が過食する大きな理由は、「食べたことを忘れてしまう」ことにあります。食事をしても、その記憶が抜け落ち、再び「食べていない」と思い込んでしまうため、結果的に過剰に食べてしまうのです。このような行動は、認知症の「行動・心理症状(BPSD)」と呼ばれる症状の一つです。
また、満腹感を感じる中枢がうまく機能しないことも原因となり、食べても満足感が得られず、再び空腹感を覚えることがあります。したがって、ただ単に「さっき食べたでしょ」と説明するだけでは、本人は納得できないことが多いのです。
過食を防ぐための3つの対策
食べ過ぎることを防ぐ方法とは以下の方法が考えられます。一つずつ解説していきます。
食事の記憶をサポートする
食後に食器をすぐ片付けず、しばらく食卓に残しておくことで「食事は済んだ」という意識を持たせることができます。さらに、食後のお茶タイムなど、会話を楽しむ時間を設けることで、食事の記憶が強化され、食後すぐに「お腹が空いた」と感じにくくする効果も期待できます。
軽食で欲求を満たす
もし、食事を終えた後でも「何か食べたい」と訴える場合は、小さなお菓子や軽食を渡して「食べたい」という気持ちを満たしてあげましょう。無理に食欲を抑えようとすると、逆にその欲求が強まる可能性があります。1回の食事量を減らし、こまめに軽食を摂るようなスケジュールに切り替えるのも効果的です。
買い置きの食品にアクセスできない環境を作る
過食を防ぐためには、冷蔵庫や食料棚に鍵をかけるという方法もあります。認知症の方が勝手に食品に手を出すのを防ぎ、食事の管理をしやすくするための工夫です。特にパンやお菓子のような、手軽に食べられる食品を取り除くことが重要です。
認知症の過食は一時的なもの
過食は認知症の進行による一時的な症状であることが多く、次第に食欲が落ち着いてくるケースが一般的です。食べ過ぎを心配せず、要求を受け入れてしまってもよいでしょう。「食べられる元気がある」と前向きに捉えることも、介護する側の心の余裕に繋がります。
なお、過食とは逆に、高齢の親の食欲が落ち痩せる状況が認知症と関係がある場合も。「高齢の親が瘦せてきた、フレイルかも!?認知症の関係も解説」で詳しく解説しています。
認知症に備える事前の対策
認知症に備えるというと、食事や生活の管理など身の回りのことに気が行ってしまいますが、財産管理にも目を向けることが重要です。
認知症による財産管理のリスク
認知症になり意思能力がなくなると財産管理ができなくなります。
たとえば、以下のような行為ができなくなります。
- 預金の引き出しなどの取引
- リフォーム工事
- 不動産の売買
- 生命保険の解約や保険金請求
- 相続対策ができなくなる
認知症になるとお金に対して執着するような行動が現れることがあります。この点は「認知症の親がなぜ急にお金に執着?財産管理はどうしたらいい?」で解説しています。
認知症にが進み、本人の意思能力が無くなりお金を管理する能力がないと分かった銀行はその人の財産を守るために口座を凍結します。
そのため、本人を支えている家族が凍結された口座のお金を本人のために使いたいと言っても、本人以外が口座お金を使うことはできません。
家族信託でできること
家族信託は、認知症などで意思能力がなくなる前に財産管理を家族に委任する手法です。これにより、認知症による銀行口座の凍結や、不動産の管理など、将来的なリスクを軽減することができます。
家族信託では主に以下のようなことができます。
- 認知症による銀行口座凍結の対策ができる
- 遺言の機能を付けられる
- 不動産の売却や管理ができる
- 不動産の共有による相続トラブルの回避ができる
なお、家族信託の詳細は、「家族信託とは?仕組みやできること・デメリットもわかりやすく解説!」で詳しく解説しています。
また、認知症になってからは成年後見制度をつかって財産を管理する方法もあります。それについては「認知症の備えにはどちらを選ぶ?成年後見制度と家族信託」を参照してください。
まとめ
認知症による過食には、適切な対応が必要です。食事の管理をしつつ、財産管理にも備えておくことが、家族全体の負担軽減につながります。
なお、認知症家族信託ガイドでは家族信託に精通した専門家をご紹介していますので、気軽にご相談ください。