家族信託で相続税を安くできる?節税対策の方法
記事作成日 2024.07.17 / 最終更新日 2024.09.04
親が高齢になり、介護や相続といったことを気にして調べていると「家族信託」という言葉も目にすると思います。
高齢の親の財産を子どもが守り、確実に継承していくために注目を集まっている家族信託では相続税対策ができるのでしょうか?
この記事では、家族信託と節税の関係について解説します。
家族信託で相続税を安くできる?
家族信託は、贈与税や相続税対策の一環として活用することができます。
家族信託をすれば贈与税や相続税が安くなる、という性質のものではないことにご注意ください。
家族信託とは
家族信託は、家族による財産管理の手法の一つです。
財産の所有者のかわりに家族が目的に従い財産の管理や運用、処分を行います。
家族信託で節税対策をする方法
家族信託をしたからといって、何らかの特別な節税効果があるわけではありませんが、結果的に節税対策ができる場合があります。
節税対策と親の認知症対策を同時に!
相続税の節税対策として、現金を不動産に変える、ということを聞いたことがないでしょうか。
不動産は、相続税を計算するときに、市場価格の約7~8割ほどの評価になります。
つまり、1億円の不動産を相続したとき、相続税を計算するときにはこの不動産を7~8千万円と評価して計算できる、ということです。
これが現金だった場合はそうはいきません。1億円の現金は1億円のままで評価が変わることはありませんから現金はまるまる相続税を計算する対象になります。現金を不動産に変えて相続対策をするのはこういう効果があるのです。
しかし、親が認知症などで判断能力がなくなってしまったら、こうした節税対策をすることができなくなります。
そこで、家族信託を利用して預貯金や不動産の管理・処分権限を家族に預けておけば、親の判断能力が失われた場合に、家族が本人に代わって財産を管理・運用できるので、現金が多い場合は先述のように不動産に形を変えることで、節税対策をすることができます。
また、介護費用を捻出するために実家を売却したり、認知症によって口座凍結をしても心配しなくて済むため、節税対策と親の認知症対策を同時にできる可能性があります。
受益権複層化信託で節税
家族信託の特徴の一つの財産から発生する利益を受ける権利、実際に管理・運用する権利など、権利を分けられる点があります。
これを利用した家族信託で受益権を元本受益権と収益受益権に分けて節税するというスキームがあります。
元本受益権・者・・・信託財産自体を受ける権利
収益受益権・者・・・信託財産の管理および運用によって生ずる利益を受ける権利
たとえば、父親が子どもに収益不動産を家族信託し、そこからの収益は父親(収益受益者)に、不動産そのものは信託終了時に子ども(元本受益者)に渡すとした場合、一定の年数が経ったのちに子どもが承継する頃には収益受益権の評価額が目減りしている、という考え方です。
これは複層化された元本受益権の価格は「目的財産の価格-収益受益権」であるとの国税庁の見解を応用したものです。
受益権複層化信託を活用したい場合は、税務上の解釈が変更されている可能性もあるため、事前に税理士と相談しましょう。
まとめ
家族信託は契約なので、親が元気なうちに家族信託契約を結ぶことが大切です。
家族信託は自由に設計ができるところが大きなメリットなので、専門家と相談しながら、家族にとって一番よい方法を見つけてください。