家族信託は一人っ子家庭にも必要!一人っ子ではない場合と理由ごとに比較して解説
記事作成日 2024.08.21 / 最終更新日 2024.09.30
うちは一人っ子だから、家族信託は必要ないだろうと考えている方も多いのでは?
家族信託は、一人っ子家庭においても財産管理や相続対策に有効な手段です。
この記事では、一人っ子家庭で家族信託が必要な理由と一人っ子家庭でない場合と比較して分かりやすく解説していきます。
財産管理で家族信託が必要な理由
家族信託は、財産の所有者である親のかわりに子どもが目的に従い財産の管理や運用、処分を行なえるように、親が委託者(受益者)、子どもが受託者となる契約をすることで、子どもがスムーズに財産を管理し、様々な手続きを円滑に進めることができます。
一人っ子家庭と一人っ子ではない家庭で家族信託で財産管理をおこなうと、それぞれどんなメリットがあるのでしょうか。
一人っ子家庭の場合
親が高齢になり認知症などを患った場合、子どもが唯一の財産管理者となることが考えられます。介護と財産の管理を一人でおこなうのは心身ともに負担は大きいでしょう。
例えば、親が認知症になり、意思能力が無くなったことがわかると銀行はその人の口座を凍結しますが、一人っ子だからといって、銀行が凍結した口座を解約してくれることもありません。そのような場合に備えて家族信託を利用することで財産の状況や管理方法を親と子の間で明確にでき、スムーズな管理を行いやすくなります。
一人っ子家庭でない場合
兄弟姉妹がいる場合は、高齢の親の介護や財産の管理は、協力したり分担したりすることができます。
お金の管理ついてはお互いが疑心暗鬼にならないように、家族信託を利用することで、誰が親の財産管理をするのかという部分について明確にすることができます。特定の子どもを受託者に指定することもできますが、兄弟姉妹で役割分担するなど、管理責任を分散させて負担を軽くすることもできます。
家族信託についての詳細は、「家族信託とは?仕組みやできること・デメリットもわかりやすく解説!」で解説しています。
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相続対策で家族信託が必要な理由
家族信託は生前は先述のような利点がありますが、相続発生時のトラブルを回避する効果も期待できます。一人っ子家庭の場合と兄弟姉妹がいる場合についてみていきます。
一人っ子家庭の場合
両親のうち、既に片親がおらず、残された片親の相続が発生した場合、一人っ子家庭では相続人が一人しかいないため遺産分割の必要がなく、相続手続きは比較的シンプルです。しかし、親の生前に家族信託を契約して親の財産をまとめて管理できていることから相続手続きをさらに円滑に進められるというメリットがあります。
一人っ子家庭でない場合
兄弟姉妹がいて相続人が複数いる場合は、遺産分割の際に意見の対立が生じることがあります。家族信託は遺言の効果を持たせることができるので、親の生前に財産分配の方針も含めて決めておけば、相続時の争いを防ぐことが期待できます。
また、近年の高齢化により、老老相続と呼ばれる相続人自体も高齢であり認知症の人がいる場合もあります。このような場合は、相続手続きがストップしてしまう場合もあり、その対策の一つとして家族信託が活用できます。「相続人の中に認知症の人がいる場合に困ることと対策」で詳しく解説しています。
親と子の安心感のために家族信託が必要な理由
家族信託をすることで、親と子の心理的な部分では、一人っ子家庭と一人っ子家庭でない場合で何か違いがあるでしょうか。
一人っ子家庭の場合
親は、唯一の子どもに信頼して財産管理を任せられるため、将来に自分が認知症になった場合や動けなくなった場合など財産管理に対する安心感が得られます。
一人っ子家庭でない場合
一人っ子家庭と同様に自分自身の体調の変化に対しての備えという意味合い以外にも、家族信託を通じて財産の分配や管理を明確にすることで、兄弟姉妹の間での公平性や安心感を確保することができます。
また、一人っ子であるなしにかかわらず、高齢の親と離れて暮らしていると、オレオレ詐欺などの特殊詐欺にかからないか心配になる人も多いでしょう。家族信託で子どもが財産を管理することで、被害を最小限に抑えられる効果も期待できます。気になる方は「高齢の親が詐欺で困らないために、財産を管理して対策する方法」をご覧ください。
まとめ
以上、家族信託が必要な理由を一人っ子家庭とではない家庭と分け、それぞれについて解説してきました。
全体として、一人っ子家庭では家族信託が親子間の財産管理を円滑にし、相続手続きを簡略化する手段として有効で、一人っ子家庭でない場合は、相続人間の調整や争いの防止という役割を持たせられることにメリットがあるということがわかります。
家族信託は自分達に必要なことについて抜けもれのない契約書を作成できるように、専門家と相談しながら作成することをおすすめします。
認知症家族信託ガイドでは家族信託に精通した専門家をご紹介していますので、気軽にご相談ください。