相続対策と認知症対策で、家族信託は使いやすい手段に|行政書士インタビュー
記事作成日 2024.07.17 / 最終更新日 2024.07.19
10年後、20年後には、家族信託が相続の中心になる・・・
「事前の相続相談」なんて言われても、いつ、誰に、何を相談すれば良いのかわからないというのが普通なのではないでしょうか。相続相談というのはどのようなものなのか?相続相談をするべきタイミングや、今後、相続と併せて認知症対策にも期待できる家族信託などについて、千葉県習志野市の高田行政書士事務所、高田俊二所長にお話を伺いました。
本記事は2021年3月9日に「いい相続」に公開した記事を再編集したものです。
目次
「預金が凍結された」から始まる相談
ご家族が亡くなられて最初に困ることは、やはり「預金が凍結された」ということが多いようです。
葬儀代も支払わなければならないわけですし。銀行口座の凍結については法律も変わり、条件を満たせば、遺産分割協議がまとまる前に相続人が預金のうち、一定額を引き出すことも可能です。しかし、ご存知ない方も多く、ご説明すると、「そうなんですか?」という方もまだまだいらっしゃいます。
当事務所に相続のご相談にお見えになる方が皆、資産家の方ばかりか?というと、そうではありません。
また相続争いという言葉もありますが、これも資産の多い方に限られたことではありません。おそらく、相続財産が3千万円以下のようなケースが大半だと思います。
私の個人的な考えですが、家族信託は今後、10年後、20年後には相続対策の中心になると思っています。ただし、現状ではまだ、対応できる先生方も少なく、判例も少ないので不安な部分もあるという段階です。
家族信託は資産の額に関係ない認知症対策
家族信託ができるように法律が変わってから10年くらい経ちますが、「家族信託」という言葉が皆さんに知られるようになったのは、この2、3年のことだと思います。
以前は家族信託の話をすると「どこかの信用金庫ですか?」という感じでしたので、ようやく、少し理解されるようになってきたという印象です。
家族信託と民事信託は同じような意味で使われますが、「家族」というと親しみやすい、やわらかなイメージもありますね。
資産の多い、少ないにかかわらず、家族信託は役立つと思います。例えば認知症の問題。
家族信託が最も使われている、もしくは最も有効な場面は、まさに認知症対策だと思います。認知症はどなたでもなる可能性はあります。何千万円といった資産がなくても、認知症になってしまったら、子供たちが財産を思う通りにできなくなります。
そのような視点で考えると、相続対策だけではなく、相続対策+認知症対策という面で、今後、使いやすい手段になると思います。
今はまだ、亡くなってからご相談にいらっしゃる方が多いですが、私はお元気なうちから認知症になった時のことを考えておくべきだと思います。その中では、家族信託は有効だと思います。
家族信託は成年後見制度よりランニングコストがかからない
成年後見制度は、それはそれで良い制度ではありますが、ご本人を守ることしかできません。資産があっても、例えばその資産を運用するとか、ご自宅を売るとかはまず認められません。
積極的なことは何もできない。一方、家族信託は、契約内容を変更することで対応できることは広がります。このような意味においては、家族信託の方が一歩先を進んでいる、いろいろな手が打てるという感じがします。
また、成年後見は月々数万円の費用がかかります。年間にしたら数十万円という費用です。
家族信託も、契約時にはまとまった費用がかかりますが、その後のランニングコストは成年後見制度ほどではありません。
もちろんお金の問題だけではないでしょうが、長期的なスパンで考えると、費用の面でも家族信託の方がコストも抑えられるように思います。
専門家からのアドバイス
生前からの相続準備となると、「ご自分だけの意思で決めるべき」と思っている方も多いです。
しかし、私は遺言や生前贈与、家族信託など、可能であればご本人だけではなく家族会議のようなものを開いて、皆の意見を聞いて調整した方が良いと思います。
本人だけで考えてしまうと、亡くなられた後、争族になる危険性が高いですし、考えている間に認知症になってしまったら、打てる手も限られてしまいます。ご自分で調べた結果、余計な先入観が入ってしまい、より良い解法を逃してしまうリスクもあります。
もし相続について心配なことがあれば、ご自分で抱え込まずに、一日でも早く専門家に相談することをお勧めします。
全文は「相続対策と認知症対策で、家族信託は使いやすい手段に|行政書士インタビュー 高田行政書士事務所」へhttps://www.i-sozoku.com/navi/interview_kazokushintaku/#1020